『プロムナイト』

Posted at : 2009年 / 10月 / 17日


スターチャンルプラスで。

「悲鳴の女王」ジェイミー・リー・カーティスが主演した、スプラッタ
ホラー全盛期である80年のホラーをリメイク。

いや、驚くべき映画でした。
ストーリーはすこぶる単純です。
女子高生をストーキングしたうえ、その母親を惨殺した変態男が
刑務所を脱走。女子高生のプロムパーティに忍び込み、四、五人
殺します。ヒロインはあわやのところで刑事に助けられ、犯人は
何もせず射殺されます。以上。

まあホラー映画ですから、ストーリーはこんなもんでいいでしょう。
客はドバッと血しぶきが噴出し、グチャグチャになった死体が
ドギャーン!と出てくるシーンが見たいだけなんですから。

ところが、これが出てきません。
殺人シーンは被害者がギャーッと悲鳴を上げる顔のクローズアップ
だけで、あとはハンガーが揺れているショットをつなげたりして
はなはだ迫力に欠けるのです。死体はちょっと血が付いてるだけで、
TVシリーズの『CSI』や『ヒーローズ』の方がよほどグロいです。

殺人鬼はありえないほど気が狂っているとか、特殊な能力を持ってる
とか、すごい凶器を使うとか、一切ないです。ふつーの変態です。
チンケなナイフ1本持ってるだけで、しかも大して使いません。

ここまでダメでも、昔のホラーはまだ楽しみようはありました。
サスペンスシーンで収音マイクが見切れてたり、逃げ惑うエキストラ
が半笑い
だったり、そのダメっぷりをゲラゲラ笑うというB級ホラー
ならではのお楽しみです。

が、この映画にはそんなお楽しみすらありません。
こんな単純なプロットに、実に中途半端におカネがかかっていて、
実に中途半端に高い撮影技術が導入されています。ぱっと見た
ところは、本当にちゃんとした「ふつーの映画」なのです。

結果として、演出はすべてのシーンが「どこかで見たショット」の
継ぎ合わせ、工夫もなければ血も出ない、意外な真犯人もなければ
驚愕のどんでん返しもない、「究極の無難映画」に仕上がってます。

長いこといろんなサスペンスやホラーやクズ映画を見てきましたが、
これほどまでに無難に徹した、言い方を変えれば、観客を喜ばす
ための創意をここまで放棄した映画は希有です。

ホラー映画というのは本来低予算映画の同義語みたいなもので、
かつてこのジャンルを賑わせた名も無き作家たちは、お金が
なければその分、よりたくさんの血を出し、首をちょん切り、
おっぱいを見せ、多少つじつまが合わなかろうと衝撃のラストを
用意して、観客に「チケットの元は取った」と思わせる最低限の
努力をしていたのものです。

こういう、ハリウッドの平均的予算をもらって、納期だけは守って
60点くらいの映画やっつけました、というホラーが、この世で
いちばんつまらないという格好の例であります。

そういえば、金曜のキラ☆キラでウエイン町山が紹介していた
新しいホラー『パラノーマル・アクティビティ』、面白そうですね。
総予算100万円(!)、口コミで全米に評判が広まったというのも、
ガチで宣伝予算がなかったからという本当の低予算映画ですが、
そのアイデアをスピルバーグが絶賛して権利を買ったという、まさに
これこそが王道のホラー映画ですね。


Category : 映画 | トラックバック(-) |  コメント:0
 |