『フロスト×ニクソン』

Posted at : 2010年 / 03月 / 06日


スターチャンネルプラスで。
いやー面白かったなあ。

ウォーターゲート事件の後、実際に行われたニクソン元大統領への
インタビューを戯曲化。この大ヒットした舞台をロン・ハワード監督
が映画化した作品。キャストは舞台のオリジナルキャストを起用し、
いわゆるドル箱スターは出ていませんが、その分ピリリと緊張した
いいお芝居が堪能できます。

ニクソン大統領の失脚を目の当たりにしたTVショーのホスト、D・
フロストは、彼へのインタビューを思いつきます。ウォーターゲート
によって大統領を辞職したニクソンでしたが、その罪は次の大統領に
よって恩赦され、彼はついに法廷で裁かれることはなかったのです。
フロストの目標は、ニクソンに、国民への謝罪をさせること。しかし
お笑い出身で、ロンドンや豪州でバラエティ・トークショーの司会を
していたフロストに、明確な政治思想があったわけではありません。
「視聴率が取れそう」。最初はただそれだけでした。

一方、政界復帰への妄執を抱くニクソンにとっても、このオファーは
悪くないものでした。このインタビューでいいイメージを取り戻せ
れば、返り咲きのチャンスとなります。しかもフロストは、言い値で
ギャラを払ってくれるうえ、政治は素人。コワモテのジャーナリスト
より、ずっと与しやすい相手です。

しかしフロストにとっては問題山積です。
前述のように政治家インタビューの経験のない、しかもイギリス人
であるフロストにカネを出そうというスポンサーはなかなか現れず、
インタビュー相手に掟破りの高額ギャラを払ったことで三大ネット
ワークも激怒。フロストは身銭を切って、自分の足でカネ集めに
奔走するハメになります。

信頼するプロデューサーや、軍師として招いたニクソンに詳しい
ジャーナリストたちの力も借りて、どうにか番組収録にこぎつける
フロスト。しかし海千山千の政治家であるニクソンは、のらりくらり
と核心をはぐらかし、トークの主導権をフロストに渡しません。
なにしろ四日間の収録の間ですら、フロストは総予算の3割しか
集められておらず、収録後にはその足でスポンサー詣でに飛んでいく
ハードな生活。勝ち目は薄いと誰もが思います。果たして、フロスト
はニクソンの膝を屈することができるのでしょうか。

フロストとニクソン(そして両陣営のスタッフ)の丁々発止の
やりとりは、まさに意志と言葉の格闘技。どちらも負ければ
キャリアの終焉。崖っぷちの男同士の闘いなのです。

ニクソンを演じたフランク・ランジェラは、まったくといっていい
ほどニクソン本人には似ていませんが、その巨体は元合衆国大統領
ならではの怪物的な迫力を醸し出すのに申し分ありません。
ロン・ハワード監督の、いつもながらのテンポのいい演出、ドキュ
ドラマタッチの手法も臨場感を高めています。

まったくもって余談ですが、「名前×名前」はやおい業界では
人物の攻め・受け関係を示すもので、最初はいかがなものかと
思ってしまったのですが、原題も"Frost/Nixon"でして、この
スラッシュで名前をつなぐのは、英語圏のやおい業界における×
印と同じ意味なんだとか(よってアチラでは腐女子はスラッシャー
と呼ばれるそうです。腐女子よりはカッコイイですね)。



ついでに、TBSで深夜にやってた『スタスキー&ハッチ』。
ご存知70年代の大人気テレビシリーズのリメイク映画化。
スタスキーを演じるのが『メリーに首ったけ』のベン・スティラー、
ハッチを『シャンハイ・ヌーン』のオーウェン・ウィルソンという
ことで、コメディ仕立てになってはいたんですが、70年代
カルチャーへの愛あふれすぎの画作りが泣けました。

スタスキーの愛車である真っ赤なボディに白ストライプのフォード・
グラントリノはテレビのまんまだし、アフロヘア、ぶっといモミアゲ
&口ヒゲ、襟のでかいシャツ、ディスコダンス…二人の銃ももちろん
リボルバー。一瞬だけチラッと写るスタスキーのカメラがニコンF2
だったり、低予算映画なのにこだわりすぎ。サントラも70年代
ポップスてんこ盛りです。

テレビでも人気キャラだった情報屋チョロマツことハギーベアには
リアルギャングスタだったスヌープ・ドッグ、セクシー・チアガール
の一人にカーメン・エレクトラ、いてもいなくてもいい悪役の情婦を
かつてハリウッドの次代を担う大物若手と期待されたジュリエット・
ルイスがやってたり、いろいろ笑える映画でした。


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