『ブッシュ』

Posted at : 2010年 / 07月 / 20日

スターチャンネルプラスで。
オリバー・ストーンの映画見るのは久しぶり。面白かったっす。

ジョージ・W・ブッシュ大統領の伝記映画。ストーン監督ならもっと
エキセントリックに演出するかなあと思いましたが、意外にも直球で、
就任当初から有名だった若い頃からのボンクラぶり(三十過ぎまで
親のスネカジリ、アル中、ほとんど定職についた経験ナシ)から、
にわかに政治家を志し、ついに合衆国大統領に就任するも、名高い
トンチンカンな質疑応答、涙ぐましいほどの教養のなさ、そして
イラク戦争の失敗を淡々と描きます。

アメリカでの公開時はまだ現役大統領でしたから、彼の人間性までは
批判していません。頭の悪い男ではあるが、基本的には世界がもっと
よくなることを目指した、「根は悪くない男」として描かれています。

もっとも、アル中治療をきっかけに、原理主義的福音派に傾倒して
いく様(パパ・ブッシュが「不気味な宗教団体」と吐き捨てる
場面もあります)、ディック・チェイニー(リチャード・ドレイ
ファス:超似てる!)やドナルド・ラムズフェルド(スコット・
グレン:これはあんまり似てません)らタカ派の側近たちに
踊らされていく様子は容赦がありません。日本でも有名だった
コンドリーサ・ライス(タンディ・ニュートン)と共に、イラク
侵攻直前に各国首脳に電話をかけまくる場面はいかにもさもありなん
という感じで笑ってしまいます。

わけてもドレイファス演じるチェイニーの妖怪的存在感は、この
映画のキモと言ってもいいでしょう(吹替えの田中信夫さんも
素晴らしい)。イラク侵攻前の戦略会議で、戦争の正当性に疑問を
捨てきれないパウエル国務長官に対し、「要するに石油が欲しい」
とズバリ本音をぶちまけるシーンは本作の白眉であります。

名優ジェームズ・クロムウェル演じるパパ・ブッシュの威厳も
映画の重要なポイントです(また妙に似てる)。アメリカ屈指の
名家の当主にして、偉大な大統領だった父から受ける失望と軽蔑を
克服することが、主人公ジュニアの生涯の目標であったとこの
映画は語ります。そして映画の終幕近く、彼が見る父の夢は、
絶望的な悪夢であります。

この映画はやはり、マイケル・ムーアの『華氏911』とセットで
見るべき映画ですね…と思ったらスターチャンネル、ブッシュ
映画祭を勝手に企画して、『華氏…』も放送だそうです。やるねw



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