リポゼッション・メン

Posted at : 2011年 / 06月 / 04日

スターチャンネルプラスで。

高額な人工臓器が自家用車のように人々の生活に定着した近未来。
巨大臓器メーカー・ユニオン社は、顧客に高金利のローンを組ませて
臓器を売りまくり、支払いが滞ると「リポ・マン」を派遣、強制的に
臓器を「回収」する商法で莫大な利益を上げていた(もちろん臓器を
抜かれた人は死ぬ)。

ジュード・ロウ演じるレミーはこのリポ・マン。相棒(フォレスト・
ウィティカー)とともに、毎日滞納者の腹を切り開き、人工臓器を
じゃんじゃん持ち帰る。その営業成績はトップクラス。

しかしそんなレミーも奥さんには弱い。いいかげん安全で定時に
帰れる販売部に移ってよ、と突き上げがきつい。真剣に異動を考え
はじめるレミー。

ある日、いつものように回収におもむいたレミーは、そこで機材の
不調で心臓に重傷を負う。半ば強制的に、ユニオン社の高価な人工
心臓を移植されてしまうレミー。自らも「債務者」になってしまった
レミーは、急に滞納者の腹を切り裂くことができなくなってしまう。
彼らが、家族も生活もある人間だという事が、初めて実感できたのだ。

販売部に異動するが、給料は半減。たちまちローンの滞納はふくれ
上がっていく。妻は家から出て行けと三行半を突きつけてきた。
彼の元にリポ・マンがやってくる期日が、刻々と迫ってくる。
そんな時、レミーはスラムの片隅で、かつて酒場で歌っていた女
ベス(アリシー・ブラガ)と再会する。ベスは病気と麻薬中毒と
売春サービスのために、体中に人工臓器を移植していた。ボロボロ
のベスを連れ、逃亡の生活を始めるレミーだったが・・・。


(以下ネタバレ)


追ってくるリポ・メンたちを撃退していくうち、レミーはあの「事故」が
偶然のものではなく、相棒ジェイクが仕組んだものだったことを知る。
レミーはベスとともに国外逃亡を図るが失敗。もうこうなったら、
ユニオンの本社に侵入して、すべての記録を消去するしかない。

本社に突入したレミーとベスは、獅子奮迅の無双ぶりで警備員たちを
まとめてぶっ倒し、本丸へ到達。ここで急に物語はリアリティが
なくなり、「あれれ?」という感じになるんですが、最後まで見ると
それにもちゃんと理由があったとわかります。

さて、改心したジェイクの助けもあり、レミーはついに、回収臓器の
保管庫をふっとばす。場面は一転、南米のビーチでベス、ジェイクと
ともにくつろぐレミー。逃亡中に書いた文章は本になりベストセラー。
三人には、明るい未来が開けていた。めでたしめでたし・・・

ところがどっこい。場面はここからさらに一転。
レミーはスラムの薄汚れた地下室に横たわっていた。頭には無数の
ピンが突き刺さっている。ユニオン社の最新製品、損傷した脳に
楽しい夢を見続けさせる人工臓器だ。運ばれていくレミーを、
悲しげに見送るジェイク。本社突入の直前、レミーが息子に託した
はずの原稿は、バッグに入ったまま・・・

そう、物語の終盤、ジェイクの追撃を受けてからのレミーの冒険は、
実はすべて、ジェイクが見せてやっていた人工の夢だったのだ。
ジェイクたちによって、ベスも瀕死の姿で発見される。おそらく
彼女を待つ運命は、レミーよりさらに悲惨なものであろう。テレビ
では死んだはずのユニオン社長が、今日も笑顔で新製品の売り込みを
続けるのだった・・・。

久しぶりに見終わった後ひんやりとブルーな気分になるアンハッピー
エンドのSF映画。でも、こういう気分って決してキライじゃないです。
70年代の映画みたいな青臭い社会批判、たまに見るといいもんです、
これはこれで。エンドタイトルの最後の最後に、でっかくユニオン
社のトレードマークとスローガンが出て終わるという演出も含めて
悪くなかったです。少し前まで、ハリウッド映画は「流血ダメ」
「アンハッピーエンドダメ」と規制がうるさかったんですが、最近
低予算ものはそういうタブーに縛られない作品が多くなってきました。
いい傾向だと思います。


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