『ダークナイト・ライジング』

Posted at : 2012年 / 08月 / 14日

いやー久しぶりに映画館行ったなあ。『ダークナイト・ライジング』です。
以下、ネタバレしやがりまくりますのでご注意。


結論から言うと、今回も重厚・壮大ですこぶる面白かったです。
「ネックレス」「自動操縦」「ミランダの過去」「ベネツィアの
アルフレッド」など、至る所に周到に配した伏線をきっちり回収
していく脚本の手腕は相変わらずお見事の一語。

ただまあ、前作『ダークナイト』がもうほぼ100点の大傑作に
なっちゃったおかげで、今回はキモチ点も辛めです。
ストーリーライン上は前作から8年後という設定ですが、
雰囲気的にはノーランバットマン三部作の第1弾『バットマン・
ビギンズ』の直接の続編という感じ。ていうか三部作をちょっと
強引に括って「ハイこれでもう最後ね!おしまい!」と熨斗
付けちゃった感じと言いましょうか。第1作の強敵にして
バットマンの超克すべき「闇の父」たるラーズ・アル・グールも
再登場しますし、同じく第1作のヴィラン「スケアクロウ」こと
クレイン博士もちゃっかり登場。お前悪役のくせに三部作皆勤賞
じゃねーかwww

で、三部作のトリを取るこの『ダークナイト・ライジング』。
暗黒都市ゴッサム・シティからは組織犯罪が一掃され平和な毎日。
一方愛するレイチェルと信頼するハーヴィ、そして正義のシンボル
たるバットマンのペルソナを失ったブルース・ウェインは
お屋敷に引きこもり、廃人同然と暮らしをしています。長年に
わたるバットマン業の代償として肉体もボロボロ。もはやまともに
歩くこともできません。かつての颯爽たるプレイボーイも今や
見る影もなく、その姿はまるで老人のようです。

しかしそんなゴッサムに、新たな嵐がやってきます。怪力・スピード・
知能いずれもバットマンを超える怪物「ベイン」が、ゴッサムを
滅ぼすべく乗り込んで来たのです。壊れかけた心身に鞭打って、再び
バットマンとなってベインを迎え撃つブルース。しかしその圧倒的な
パワーの前に、逆に背骨を砕かれ、どことも知れぬ国にある悪夢の
監獄「ピット」に捕らわれてしまいます。バットマンを排除した
ベインは、ゴッサム全市民1200万人を中性子爆弾によって人質にし、
ゴッサム崩壊のカウントダウンを開始します……。コミック版の
一大サーガであった『Knightfall』を下敷きに、今回も見応えある
アクション大作に仕上がってます。

前作『ダークナイト』では、「現代社会の中にあって真に正しい
ヒーロー像とは何か」という、いわばアメコミ業界のアダルト・
コンテンポラリーなテーマを、ハリウッド映画として実に明快に
描ききったわけですが、今回のテーマは「英雄の再生」です。
同じテーマを扱って大失敗した『スーパーマン・リターンズ』と
較べればこの上なく上首尾にテーマは描けていますが、やはり
「ヒーローと社会性」という高踏的な主題と比較するとやや陳腐
という印象が否めません。第1作が「恐怖を超えて恐怖を武器にする
ヒーローの誕生」という、いわばバットマンの個人史がテーマだった
ことを思い出しますと、「恐怖を受け入れて再生するヒーロー」
という新たな個人史がテーマである本作が、第1作の直接の続編と
思えるのも説明がつくと思います。

で、テーマがベタなだけに、あちこちにこの「ベタな感じ」が
散りばめられておりまして、目立つところでは古典的な「敵か味方か
ナゾの美女」として描かれたセリーナ・カイル。裏切ったり味方に
なったり不二子ちゃん的なところがベタでしたねえ。バットマンが
幽閉された「ピット」が、幼少期のブルースが初めてコウモリと
出会い「恐怖の象徴」を知るケイブにそっくりであり、さらに
再生を象徴する産道そのもののアナロジーであるというあたりも
ベタですねえ。いや、ベタをバカにしちゃいけません。ベタは
大事です。つーか終盤、バットポッドにまたがったセリーナ
ちゃんの大活躍ぶりはほとんどバットマンを食っちゃって
ましたよね( ̄▽ ̄)

さてコミック版ではバットマンの不在を埋めるべく、相棒ロビンや
新ヒーロー・アズラエルといったキャラが活躍したわけですが、
こちらの映画ではブレイクという若い警官がその役を務めます。
まだ坊やという感じの年齢ですが、熱意・好奇心・洞察力・行動力
・正義感いずれも人並み外れ、重傷を負って寝たきりになった
ゴードンの手足となって事件を追います。ブルースとゴードンが
舞台からハケ気味になっている時、まさにもう一人の主人公として
獅子奮迅の活躍です。中盤、彼が普通の刑事ドラマのように
コツコツとベインを捜査するシークエンスなんかもなかなかイイ。
もちろんバットマンファンなら見ていて誰でも「ははあ」と
なりますが、案の定エンディングで、孤児だった彼の本名が
「ロビン」であったと判明します。そして彼が、主のいなく
なったバットケイブ(3作目にして初めて登場!)を発見する
ところで幕切れ。ここで観客は、本作のもう一つのテーマが
「ロビン・ライジング」であったことを知るわけです。
ここらへんはニクい趣向でしたねー。あまりコミックを知らない
客層に向けてわかりやすく「ロビン」にしたんでしょうが、
敢えて本名はグレイソンでもよかった気もしますけど。

でまあ一番大きな不満はですね、やっぱり最強の敵ベインとの
戦いですよね。せっかく第1作で「神秘的なアジアの秘術を
体得したバットマン」を描き出したのに、なんでベインとの
バトルは単調なカウボーイの殴り合いになっちゃうのか。
パワーのベインに対してもっと幻惑的に戦うバットマンも
見たかったっす。最初の戦いで、闇のヒーローの本領を発揮し
照明を消して暗闇からの攻撃を試みるバットマンですが、
ここなんか淡白でしたねえ。闇の中からまさにコウモリ人間の
ように襲いかかるバットマンに、「貴様の動き、すべて見える」
と迎撃するベインとか、もうちょっとコミック的な演出が
欲しかったですね、このへん。せっかく甦ったバットマンも
結局自力では倒せず、セリーナのカノン砲でやられちゃう
とかさ、あれもないよね。もっとジャンプ嫁。

三ヶ月間も大都市がまるごと占領されてるのに、地下に生き
埋めにされた何千人の警官はみんな元気だしさ、いまいち
市民の空気みたいのも明確に描かれていないのもノーラン監督
らしからぬ手落ち感がありました。ノーラン監督はあのくだり
「二都物語」を下敷きにしたそうですが、フランス革命直後の
ギロチン法廷みたいなところが描けたらもう満足しちゃった
んでしょうかね。

つーことで、これがもし『バットマン・ビギンズ』の続編
なら90点差し上げるところですが、残念ながら映画史に
残る傑作『ダークナイト』の続編てことで、少し厳しく75点!




関係ないけどおい痴豚!古いアニメの話題はもういいからとっととネタ
読めよ! つーか「あの花」って山ちゃんも去年話題にしてたけど、
なんかTBSラジオ絡んでんのかしら。

Category : 映画 | トラックバック(-) |  コメント:0
<<ねんどろいど小鳥遊美羽 | ホーム | 『+チック姉さん』>>

Comment List

Comment Form

 |