『蒼空の悪夢』

Posted at : 2012年 / 09月 / 24日
雨の週末を越えたと思ったら一気に涼しくなりました〜。

本日発売のコンビニ本。滝沢聖峰『蒼空の悪夢』(学研)。

最近ちょっと画風に変化がありますが、骨太な戦記マンガの本格派
であります。なんで買ってきたかっつーと、2004年に大日本絵画から
出た名作中編『WHO FIGHTER』が採録されているから。好きなんです
このマンガ(ちなみにオリジナル単行本、まだ新品をアマゾンで買え
ますよ)。

大戦末期1944年。立川で機載レーダー「タキ二号」のテストを
していた陸軍航空兵・北山中尉は、夜の空で正体不明の発光体と
遭遇する。

翌日、憲兵とともに北山のもとにやってきたのは、「登戸研究所」
(陸軍の技研機関)の怪しげな軍属・尾崎。尾崎は北山にあれこれと
尋ねるが、どうも何か隠している様子。尾崎はあの発光体を米軍の
新兵器と疑っているが、その日から北山の周囲には、説明のつかない
奇妙な出来事が次々と起こる。謎を追う北山中尉は、ついに登戸研究所の
地下に隠された究極の機密を目にしてしまう……。

軍用機の周囲を飛び回る謎の発光体フーファイター、インプラント、
キャトルミューティレーション、ミステリーサークル、MIB、消された
時間、片言でかかってくる謎の警告電話、さらにモスマン、グレイと
古典的UFO神話をこれでもかとぶっ込んだUFO好きにはたまらない
好編になっています。これだけ古びたネタを盛り込んでそれでも全く
陳腐に陥っていないのは、本格戦記マンガでならした緻密な考証と
ディティールが、物語にゾクゾクするようなリアリティを与えている
からでしょう。帝国陸軍の航空兵vsエイリアンクラフトという斬新な
アイデアも素晴らしいのです。プロダクションIGあたりでアニメ化
したら面白そうなんですけどねー。

他にも5本の中短編が収録されたっぷり320ページで480円とお買い得な
コンビニ本です。しかし初出一覧みたいのないのね。この辺はコンビニ
本の悲しさです。




その他の収録作品。


「とにかく生き残ること」をモットーに「月光」での迎撃任務を
こなしていた男。上官や同僚に睨まれない程度に作戦をこなす
うちになぜか戦功が積まれていく。そしていつものように飛び立った
男に待っていた皮肉な運命を描く『月光、夜明ヲ見ズ』。

被弾し無人島に不時着した「一式陸攻」の搭乗員たち。負傷した
操縦士の心の闇が語られる哀切な短編『搭乗員の帰還』。

すでに広島・長崎に原爆が投下された終戦間際。さらに東京への
原爆投下を察知した陸軍は、残り少ない腕利きパイロット伊藤に、
最新鋭機キ-一〇八改を与え絶対迎撃を命じる。この機体には、
当時日本が圧倒的に遅れていた極めて高性能な電探(レーダー)が
装備されていた。これを量産すれば勝てるという伊東に、戦隊長は
「あの電探は量産できんのだ。いや、してはならんのだ」と謎めいた
言葉を吐く。果たしてこの電探の正体は……。SF的なアイデアを
盛り込みつつ兵器の非人間性を突きつける『キ-一〇八改帰還セズ』。

「震電」のテスト中に米軍機の攻撃で妻を失ったパイロット大清水は、
まだ不調の多い震電の機体に軍神秋葉権現の神像を描き、ある儀式を
施す――――戦記ものに伝奇的要素を組み合わせた異色作『式』。

ビルマ戦線で軍を離脱し、密林の奥に独立王国を作った大佐の
暗殺命令を受けた特務工作員。装甲船で川を上る彼が見たものは
南方戦線の地獄絵図だった。コンラッド『闇の奥』と映画『地獄の
黙示録』へのオマージュを捧げた『HEART OF DARKNESS』。

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