『マン・オブ・スティール』

Posted at : 2013年 / 09月 / 04日

『ウォッチメン』のザック・スナイダー監督、『ダークナイト』
シリーズのクリス・ノーランと『ブレイド』『バットマン・
ビギンズ』のデヴィッド・S・ゴイヤーが脚本の超大作となれば
見に行くしかないスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』。
しかしこれだけの大作が、板橋イオンシネマでは一週間しか上映
されないってどゆこと!? まるでC級コメディか低予算ホラー
みたいな扱いじゃないのさ。しかも2D版はレイトショーないとか。
おかげであんまり好きじゃない3D版を割増料金で見る羽目に。
ぐぬぬ。


【以下ネタバレありです】

結論をズバリ言えば、面白かったです。ふつーにヒーローアクション
映画としては。なんつっても敵のゾッド将軍とその女副官が鬼強い!
中盤の、カンザスの田舎町を舞台にしたファースト・バトルでは
米軍のA-10攻撃機(ハリウッド映画はこのオイボレアタッカーが
ホントに好きですね。わしも大好きです。機首と同軸アヴェンジャー!!!)
も乱舞して燃えますし、クライマックスはもちろん大都会メトロポリス
をじゃんじゃかぶっ壊しての大格闘戦! わしの知る限りアメコミ
ヒーロー映画でここまで大都市を破壊し尽くした作品はないでしょう。
今までの映画ではちょっとした変化球的な扱いが多かったヒート
ビジョン(目からビーム!ね)も、この映画ではジャバジャバ出ます!
焼いて溶かしてぶった斬ります! これほど光線技が活躍したのは
他には『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』くらいかな?

で、やはりキモはドラマ場面なんですが、ここは期待以上でも、
以下でもなかったです。生まれながらに超人であり、それゆえ
コンプレックスと疎外感にさいなまれるクラーク少年が「鋼鉄の
男」として目覚める。この大筋からはどうやっても逸脱できない
わけでしてね、やっぱりスーパーマンって、ヒーローとしての
背景は深くなれないんですよね。結局「アメリカ人として生まれた
《全能の神》の物語」でしかない。育ての親であるケント夫妻を
演じたケヴィン・コスナーとダイアン・レインはとっても良かった
ですけどねー、このあたりの「若きクラークの苦悩と家族の物語」は
テレビシリーズの『ヤング・スーパーマン』が完成形なのではない
でしょうか。

苦悩するヒーロー候補が自分探しのために世界を遍歴し、ついに
超人として覚醒するという構図、また敵が正体を隠している主人公を
突き出せと民衆に迫るという構図は、ノーランの『バットマン』
映画と同じですしね。この辺は作家のクセが出てしまってると
言いますか。新聞記者ロイスが、クラークの足取りをコツコツと
自分の足で取材して、ついにカンザスの実家に辿り着くあたりの
リアルなくだりもノーランらしかったですね。

いちばん気になるのは、スーパーマンのキャラ付けが今いち不明確な
ところがあったってことですね。特にオーラスの、ゾッド将軍を殺す
までのためらいと、殺してしまった後の苦衷の絶叫。あれがねー、
作中だけだと説明が足りてないんですよ。スーパーマンは決して
命を奪わないヒーローである、という設定はアメリカ人には説明の
必要もない常識なんでしょうが、日本ではハッキリ言ってコミックを
読んだことある人なんて5%もいませんよ、おそらく。多少アメコミを
かじったことのあるわしですら、ちょっと「言葉が足りないな」と
思いましたからねえ。

スーパーマンはその気になれば全人類を一人で絶滅させる力を持つ、
それゆえに誰よりも生命の価値を重んじ、どんな悪人であっても
殺さない―――そういう意識をもう少しハッキリと事前に描いた
方がわかりやすかったと思います。ベタにはなりますけどね。

誰よりもピュアな心を持つ超人が、心ならずも迎えた初陣で、
同胞の血で自分の手を汚してしまったという苦しみもあった
でしょう。ゾッド将軍が単なる悪党ではなく、彼なりにクリプトン
人を断じて絶滅させまいという純粋な動機に衝き動かされていた
ことを知り、そのジレンマからの傷心もあったでしょう。
このあたりはいかにもノーランらしいシナリオではあるんですが、
その直前に、メトロポリスのビルをいくつも倒壊させるような
大バトルやっちゃってますでしょ。あそこでもう無辜の市民が
何万人死んでるのよって話でね。そこがどうも、「命の収支が
大赤字」なわけですよ。

このあたり、『300』『ウォッチメン』で何千何万のエキストラを
殺しまくった虐殺派のスナイダーと、「市民社会におけるスーパー
ヒーローとはなにか」を思索し続ける社会派のノーランとでは
もう一つ食い合せが悪かったのかもしれません。わしゃどっちも
好きなんですけどね( ̄▽ ̄)

あとは……やっぱり音楽かなあ。ハンス・ジマーの陰鬱なテーマは
バットマンには最適なんですが、基本的に陽性のヒーローである
スーパーマンにはどうにもいけません。クライマックス、地球破壊
ビームの奔流の中でスーパーマンが「うおおーっ」と立ち上がる
ところは、もっとこう、イデオン的な燃えるサントラが要ったと
思いますよわしゃ。スーパーマンは男の子のための映画なんですもん。

あと細かいこともう一つ二つ。

『リターンズ』もそうでしたが、「アメリカのためだけには働かない」
というラストも最近のスーパーマンらしいですね。コミック世界の
スーパーマンはデビュー以来一貫してアメリカ政府と密接な関係に
あり、「アメリカン・ウェイを守る英雄」なんですけどね
(それゆえコミック『ザ・ダークナイト・リターンズ』では政府
直属の超人としてバットマンと激闘を繰り広げます)。

デイリー・プラネット新聞社の編集長ペリー・ホワイトは白人の
口やかましいおとっつぁんとして描かれることが多いですが、
この映画では黒人のローレンス・フィッシュバーン。なんかえらく
肥えててビックリしました。おかげでなんか重厚な感じもw
プラネットのもう一人の名物キャラ、お人好しの青年カメラマン
ジミー・オルセンは出番がなくて残念でしたね。

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